中国 崩壊 ありえない。 もう一度言おう、中国がアメリカに「絶対に勝てない」その理由 「香港経済崩壊」はあり得ないと言う人へ

もう一度言おう、中国がアメリカに「絶対に勝てない」その理由 「香港経済崩壊」はあり得ないと言う人へ

中国 崩壊 ありえない

新型コロナの感染拡大を受けて開催時期を延期しただけでなく、例年発表してきた経済成長目標も出さない、異例ずくめとなった。 そして今回、掲げられた政策の中身からは、一党独裁体制の崩壊の前兆が垣間見えてくる。 (国際政治評論家・翻訳家 白川 司) 異例ずくめの 今年の全人代 今年の全人代(全国人民代表大会)は異例ずくめだった。 3月の予定を大幅に延期したのはもちろんであるが、例年であれば10日以上おこなわれるところを、今回は5月22日から28日までの6日間と大幅に短縮された。 また、ほとんど恒例行事化されていた経済成長目標の発表もされなかった。 この全人代の変化は今後の中国が大きく変化していくことを象徴しているのではないだろうか。 全人代には「日本の国会にあたる」という枕ことばが付くことが多い。 だが、実際は似て非なるものだ。 重要な政策はすべて「チャイナセブン」とも呼ばれる中央政治局常務委員会で決められ、全人代は単なる報告の場であり、追認の儀式をおこなう場にすぎない。 では、共産党幹部が一堂に会す全人代の役割とは何なのか。 それは、今年度、死守すべき共通目標を参加者各自が受け取ることである。 全人代で発表されることは共産党が一丸となって死守すべき目標でもある。 それだけに、そこで何が述べられ、何が述べられなかったかを知ることは、中国の今後を知る上で重要なのである。 経済成長目標が 出なかった理由 例年の全人代で最も注目されてきたのは、経済成長目標だ。 GDP比で何%成長させるつもりなのかを知ることで、中国政府の経済政策の全体像がおぼろげに見える。 ちなみに、2017年と2018年は6. 5%前後、2019年は6~6. 5%に設定され、いずれも達成されている。 先述したように2020年は目標が掲げられなかったが、これは19年ぶりのことだ。 このことについて、「新型コロナウイルスのパンデミックの影響で先々が読めないから」と説明されることが多かったようだが、おそらくそれだけではないだろう。 そもそも中国政府は先を読んで目標を設定しているというより、「これくらい成長させないと、国内が安定しない」という目標を出して、それに向かってつじつまを合わせているだけのことである。 では、今年はなぜ成長目標を出さなかったのか。 それは、達成可能な経済目標を出すと、かなりショッキングな数字になるからではないだろうか。 2020年の第1四半期がすでにマイナス6. 8%であり、2020年はマイナス成長を予測するエコノミストも出ている。 だが、全人代で「経済成長目標1%」といった具体的な数字を出すと、達成できない可能性もあるばかりか、習近平指導部の威信にも関わり、低成長の直接の原因である新型コロナウイルス拡大の責任も問われかねない。 実際、李克強首相も経済成長について聞かれて、「プラス成長を確保する」としか答えられなかった。 その代わりに出してきたのが、都市部の失業率を6%前後に抑えるという目標だ。 だが、これについては、出稼ぎ労働者が失業すると故郷の農村に帰ることが多いため、失業率は実態ほどは増えないというカラクリがある。 失業率の目標で想定されているのは、おそらくホームレス化したり、犯罪に手を染める者が増えないようにするといった治安維持の観点だろう。 したがって、全人代でわかった中国政府の経済目標は「今年を何とか無事に乗り切る」と言っているのに等しい。 経済対策については、文字どおり「お手上げ状態」だ。 予算案から見る 政策の変化 今回の政府予算案では、財政赤字増加分が1兆元、ウイルス対策のための特別国債が1兆元、主にインフラ投資に向かう地方政府債権が3. 75兆元、減税・社会保障費引き下げが2. 5兆元となっており、合計8. 25兆元(120兆円)が組まれている。 当初、リーマンショック時レベルの経済刺激策が打たれると期待するエコノミストも少なくなかったが、それはかなわなかった。 2009年のリーマンショックで起こった金融危機では、中国は4兆元(当時のレートで60兆円)もの超大型の景気刺激策を打っている。 インフラを中心とする大型公共投資によって、中国国内での需要が高まり、中国はリーマンショックを無事乗り切って、世界経済における圧倒的な存在感を高めるきっかけとなった。 今回計上されている8. 25兆元のうち、インフラ投資に使えるのは地方債の3. 75兆元(57兆円)であり、このうちのかなりの割合が老朽化したインフラの改修や5G網敷設や電気自動車普及のための環境整備などに使われることになる。 現在のGDPが10年前の3倍ほどになっているのを考えると、景気刺激策として小粒であることは否めない。 これは、リーマンショック時の大型刺激策があだとなり、のちに不良債権問題を抱えて、いわゆる「ゾンビ企業」を数多く誕生させて現在も後遺症に苦しんでいることに配慮したのだろう。 また、今回の経済対策では、先述の失業率の抑制とともに「貧困層の撲滅」が目標として掲げられている。 その背景には、新型コロナウイルスによる失業増加によって社会が不安定化し、ゆくゆくは反共産党運動に結びつくことへの恐れがあるのではないだろうか。 全人代では香港の自治をなし崩しにしかねない「国家安全法制」の施行が決められた。 習近平指導部は香港に集まる外国投資を犠牲にしてでも民主化運動を抑え込もうとしているのである。 これは、香港の民主化運動が中国本土に飛び火することを懸念してのことからだろう。 今回の経済対策や国家安全法制は、経済成長より秩序維持を優先させて、中国共産党支配を維持しようとするための「内向き政策」にすぎない。 それだけ中国国内では習近平指導部や中国共産党に対する不満が鬱積(うっせき)しており、何かのきっかけで火が付けば自分たちの地位が危うくなりかねないと不安視しているのだと考えられる。 習近平指導部は、中国の覇権拡大から「中国共産党の持続可能性」へと政策の重心を移していると考えるべきだろう。 国際金融センターとしての 香港のゆくえ 全人代では香港に「国家安全法制」を施行することが決定した。 今後、香港は中国本土並みに監視されて言論が統制され、これまでのような民主化運動は困難になり、急速に「中国化」が進むことになるだろう。 また、香港を脱出しようとする人たちがかなり増えていると伝えられている。 5月29日の会見で、トランプ大統領は国家安全法制に対する制裁として、これまで香港に認めてきた優遇措置を一部撤廃して、香港にも中国本土並みの規制を適用する可能性があることを示唆している。 アメリカが香港の優遇措置を撤廃すると、香港ドルの信用度が落ちてこれまでドルベースでおこなわれてきた取引が徐々に難しくなり、外国投資の窓口となってきた香港の価値も失われていく。 規制の少ない香港は中国にとって欧米企業のマネーとともに情報を取り込み、中国企業が欧米企業に投資するための一大金融ハブである。 中国における香港の相対的な価値は低くなったとはいうものの、欧米企業の窓口という機能は上海や深センにはない独自のものだ。 香港の機能が薄まれば、中国企業はますますシャドーバンキング依存を強めて財務面で脆弱(ぜいじゃく)になる。 そうなると、「ゾンビ企業の撲滅」どころか、失業者を増やさないためにゾンビ企業の温存をやらざるをえない。 資本や人材が逃げていけば、香港は特権的な地位を失い、「アジアの金融センター」という地位は徐々に東京やシンガポールに奪われることになる。 また、アメリカの証券市場での排除が始まっている中国企業は、さらに欧米との接点を失って内製化が進むが、同時に日米欧企業の撤退も増えて技術的にも不利になり、香港の没落とともに、中国製品の競争力も落ち込んでいくことになっていくだろう。 コロナ後遺症で 揺れる独裁体制 中国経済は輸出に大きく依存しており、パンデミックの後遺症による世界的な不況が続くと、大きなダメージを受ける。 現在は3兆ドルという膨大な外貨準備金があるが、輸出を増やそうと当局が人民元安を誘導すれば、資本流出が始まる可能性がある。 そうなれば、どこかの時点から外貨準備不足が起こり、人民元に対する信用度はさらに低下する。 その上に、香港が国際金融センターとしての地位を失えば、資本流出はさらに深刻なものになっていくはずだ。 そのため、当局は資本流出が起きない程度に人民元安を抑えるしかない。 だが、それでは輸出を伸ばせない。 中国の製造業は過剰ともいえる供給能力を抱えているため、輸出がさらに細れば中国はデフレ不況に突入する。 そうなれば、日本で1990年代中頃から始まった「失われた20年」が中国でも起こる可能性がある。 かといって、人民元安に誘導すれば、今度はインフレと資本流出が止まらなくなる可能性がある。 特に食料価格が上がれば貧困層の生活を直撃して、政府への不満がたまっていく。 いずれにせよ、国民の反発や資本流出を抑えるためには、これまで以上に監視を強化するしかない。 そうなれば、企業の快活さが奪われ企業活動を萎縮させ、企業のゾンビ化を抑えるなど不可能になってしまう。 そして、不況は長引くことになる。 とはいえ、活路を日米欧以外の外国に向けようと一帯一路による投資を増やそうとしても、輸入が減ってドル資金が枯渇していけば、人民元による投資の割合を増やすしかない。 だが、人民元の信用度はドルに比べるべくもなく、対外投資を増やして不足分を補うことなど困難だ。 結局、投資を国内に振り向けて貧困層を減らして中間層を増やすことで、国内需要を拡げるしかない。 だが、そうなれば、「豊かな非共産党員」が増えて、やがて自由がないことへの不満が爆発して、共産党一党体制を揺るがす事態にもなりかねない。 それゆえ、政府は中間層を増やしながらも、国民に対する監視をさらに強化して、思想や行動の自由を厳しく制限するディストピア社会を作り出すしか選択肢がないわけである。 香港への国家安全法制も、結局は「経済にマイナスになろうが、民主化運動が本土に飛び火するよりマシ」という2つのマイナスの選択肢の中から1つを選んだにすぎず、徹底した監視社会で国民の自由を奪うことは最初から織り込み済みだと考えられる。 だが、そのような社会が長続きするはずはない。 習近平指導部が国家安全法の施行を選んだ時点で、すでに中国共産党支配のきしみは始まっており、不満のたまった中間層からの反抗という形でやがてひび割れが始まるはずだ。 それを繕っていけるうちは一党独裁体制は維持できるだろうが、政府への不満が貧困層にまで広がり多くの国民が新しい体制を求めるようになれば、それは手に負えないほどの大きな裂け目になっていく。 それはまさに「中国独裁体制の崩壊」と呼ぶべきものの第一段階にあたるのではないだろうか。

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中国、崩壊への警戒感高まる…共産党独裁体制が“寿命”、米国を敵に回し経済停滞が鮮明

中国 崩壊 ありえない

いなたくんへ 中国古来の占術「算命学」を使った国家の長期トレンド予測について、いくつかの紹介をしてきた。 繰り返しになるけど、算命学とは、国家を10年ごとに5つの時代に分けて、これを1つのサイクルとして扱うものだ。 動乱期のあと、国の安定に伴い国家の中枢を担う人材が教育され(教育期)、彼らが経済確立期と、次いで庶民台頭期をもたらすが、権力は庶民を抑えるようになって国家は衰退し(権力期)、再び次の動乱期を迎える。 理に適ったシナリオであり、実際に過去の歴史を検証したらけっこう当たってたかも、というのは以前紹介した通りだ。 では算命学を使って未来を予測してみると、どんな景色が見えるだろうか。 いくつかの未来予測本も参考にして、2020年のロシア崩壊、トルコとポーランドの大国化、2060年に人口逆転する独仏関係、そして米国の覇権国転落という、4つの未来を検証した。 続いて今回は、台頭する中国とアジア世界、そして日本の未来を考えてみる。 Summary Note 5.2020年頃「鬼門」を通過する中国は崩壊するのか 中国の未来について、まず気になるのは崩壊説だ。 中国は経済政策の無理がたたって崩壊する、という「中国崩壊説」は巷ではよく見かける。 地政学に基づき21世紀の各国動向を予測したも、有力説として崩壊説を挙げている。 『100年予測』の具体的な予想は以下の通りだ。 少なくとも2010年代の対日・対米対決姿勢は、本書の予測が当たっていたように思える(2012年の尖閣諸島国有化に端を発する中国の反日姿勢は本書刊行後の出来事)。 2010年代に経済的問題を外国に転嫁しようとして、日本又は米国と外交的・軍事的に対決しようとする• 2010年代には米国に対抗する海軍力は持たない• 最も可能性の高いシナリオは、「経済悪化がもたらす歪みにより、中国は伝統的な地方の境界線に沿って分裂し、中央政府が弱体化して力を失う」というもの• 2020年頃、日本による沿岸部の大規模投資が、中央政府の権力への対抗に繋がっている ソフトランディング説の場合、中国はインドと共に世界を牽引 しかしながら「中国20XX年崩壊説」は、毎年まことしやかに語られつつも、常に外れてきたのも事実であり、中国大国化の脅威に起因する情緒的観測という側面は否めない。 次の記事によれば、中国崩壊説は30年来続く根強い「信仰」のようだ。 経済指標からみる中国がヤヴァイのが事実としても、そんなことは中国の首脳陣も重々承知で、ソフトランディングできる可能性も十分にある。 米国情報機関による大統領向けレポートをまとめたはソフトランディングを支持する立場で、そのシナリオは次のようなものだった。 中国は2020年までに、実質成長率を5%程度に落ち着かせる• 民主化と経済失速の過程で、国粋主義的傾向が高まる可能性がある• 中国の国力は2030年以降に米国を抜く• 中国が世界一の経済大国である期間は長くはなく、インドにその座を奪われ、以後中印2ヶ国が世界経済を牽引する 『2030年世界はこう変わる』の予測の詳細は次の記事で紹介した。 果たして中国の経済は崩壊するのか、それともソフトランディングできるのか。 算命学の観点から考えてみる。 新中国の第2サイクルは世界に打って出る50年に 中華人民共和国の憲法は1954年に制定され、2004年から2回目のサイクルに入っている。 2004年から2013年までの動乱期には何があったか。 私は中国の最初のサイクル(1954-2003)を、その50年を「建国と社会主義市場経済体制の完成」と見た。 動乱期・教育期(1954-1973)には大躍進政策や文化大革命といった混乱があったが、経済確立期から改革開放路線が打ち出され、1992年に「社会主義市場経済」が提げられる。 第1サイクルの50年で内政にひと段落をつけたとして、第2サイクルは世界に打って出る50年になるかもしれない。 そのスタートとなる動乱期(2004-2013)で中国は、GDPで日本を抜いて世界2位に躍り出、北京五輪を開催し、中間層が激増するなど、大きな変化を見せた。 社会に生じた摩擦も小さくはなかったはずだ。 また、第1サイクルの庶民台頭期(1984-1993)に生じた自由化要求は天安門事件の形で抑圧されたが、第2サイクルでは政府と人民の関係がどう変化するかも見逃せない。 キーとなるのは情報技術だ。 例えば2003年のSARSの流行はEC(電子商取引)文化を発展させ、世界でも最先端の市場を作り上げた。 英エコノミスト誌の予測や『2030年世界はこう変わる』でも、SNSをはじめとする情報技術は、民主主義を強化し、同時に政府権力をも強化するゲームチェンジャーとみられている。 中華人民と社会主義政府の最先端テクノロジーをめぐるイタチごっこは、21世紀の国家の在り方を図る上でも見逃せないモデルケースだ。 この視点では山谷剛史著が必読である。 さて、中国はそれから教育期(2014-2023)に入った。 算命学が正しければその半ばには、国家を震撼させる事件が起こる。 そろそろ起こるはずの「鬼門」とは一体何になるだろう。 「鬼門」仮説1:経済危機が陽の時代への転換点となる 1つめに考えられるのは経済危機だ。 来るぞ来るぞと言われていた中国発の経済危機が、ついに起こる。 ただしその結果が国家崩壊にまで至るかは果たして疑問だ。 巨大な経済危機は日本も米国も経験してきた。 中国の場合は共産党に抑圧された人民が爆発する、という「期待」があるものの、未知数である。 そもそも鬼門通過とは、陰の時代から陽の時代への転換にともなう「痛み」である。 中国の経済危機は大きな痛みを伴うだろうが、むしろ溜まった膿を出し切り、経済確立期(2024-2033)を迎える準備が整うかもしれない。 それより心配すべきなのは経済確立期の先、庶民台頭期(2034-2043)ではないだろうか。 『2030年の世界』では、2020年頃に中国経済がソフトランディングできたとしても、2030年以降に失速が起こると指摘している。 原因は深刻な高齢化だ。 中国は65歳以上人口比率が2030年には現在の倍の16%に上昇し、労働人口も2016年をピークとして減っていく。 全体人口も2025年の14億人以降は減少し2050年にインド(16億人)に抜かれる。 エネルギー需要も2030年には現在の2倍となって大きな問題となる。 以上のことを考えると、中国の経済成長は算命学のシナリオ通り経済確立期(2024-2033)にピークを迎えるが、2030年代の庶民台頭期には失速し、2040年代の陰の時代(権力期・動乱期)に突入する。 というのが私の予想だ。 「鬼門」仮説2:2020年の「奪還」戦争 もう1つ鬼門として考えられるのが戦争だ。 鬼門通過期に大きな戦争が起きた例は珍しくなく、日本の日露戦争や米国の朝鮮戦争、ロシアのグルジア紛争はいずれも教育期の半ばに起き、かつ国家のその後を左右する戦争となった。 中国は動乱期以来、東シナ海や南シナ海での勢力を活発化させ、インド洋やアフリカ方面へも勢力圏を伸ばしている。 中国の第2サイクルが拡張の50年となるのであれば、その最初の衝突が教育期の半ば、すなわち2020年頃に起こることはあり得るだろう。 『2050年の世界』では、中国は米国に第1列島線の内側で活動させないことを目標に、2050年までに防衛線を第2列島線まで拡大しようとすると予想している。 その前段階としてターニングポイントとなるのが2020年で、中国は空母4隻体制を構築して大洋作戦能力を獲得し、米国とのパワーバランスが一段階変化するとされている。 より ちなみに次の記事では、中国は2060年までに6回の「奪還」戦争を行うと予想。 その最初の戦いとなる台湾統一戦争が2020年から2025年に起こるとしている。 中国の軍事関連掲示板を紹介した記事なので真に受けるべきものではないが、ひとつの予想としてはおもしろい。 ちなみに尖閣諸島・琉球奪還戦争は2040年から2045年とのこと。 沖縄もかよ。 いずれにせよ中国はいま、2014年から2023年までの教育期にあり、その半ばに起こるとされる鬼門通過がいかなる事件になるかは注目だ。 これは中国にとどまらず、世界の趨勢にも影響を及ぼすことになるだろう。 6.楽観できないインドの未来、人口ボーナスを終えるアジアの国々 次に中国の周辺にあたる、インドと東南アジアの未来を予想したい。 中国はすでに紹介した通り、労働人口増加のピークを2016年に通過し、今後は社会の高齢化に備えねばならない。 一方で、人口ボーナスの影響をまだまだ享受できるのがインドと東南アジアだ。 シンガポール建国者リー・クアンユーは戦争の要因の1つに人口増加率を挙げており、インド周辺や東南アジアは21世紀の戦争発生リスク地域にもなっている。 大国中国との関係でも、人口増加に伴う経済成長・戦争リスクの観点でも、21世紀における当該地域の影響は無視できない。 その未来を算命学に当てはめると、何がわかるか。 アジア各国の人口ボーナス期(図:より) 未来を楽観視できないインド 中国との関係では、まず気になるのがインドだ。 インドの労働人口数ピークは2050年としばらく先で、人口は中国を抜き世界最大になると予想される。 しかし、人口ボーナスの享受国であっても楽観視できないというのが『2050年の世界』の予想だ。 『2050年の世界』では、インドにおける高い成人非識字率、若年層の男女比不均衡、南北で大きく異なる人口トレンドといった構造的問題を指摘。 「複数政党ならではの欠点と挫折に苦しめられ」「2050年までの間に、良い知らせと悪い知らせをもたらす」としている。 『2030年世界はこう変わる』では、インドは中国の未来を占うための1つの変数として扱われていた。 その予想では、中国の「世界一の経済大国」の座が短命に終わったあと、中印2ヵ国が世界経済を牽引することになる。 そしてこれがうまくいかず、例えば両国関係に不安が生じる場合には、それは世界の不安につながるとする。 算命学的にはどうだろう。 インドは1959年に独立し、現在は2サイクル目の教育期(2010-2019)のただ中にある。 その後2020年から2040年の20年間、ちょうど人口ボーナスと重なる期間に、インドは経済確立と庶民台頭の陽の時代を謳歌することになる。 成長に伴い国内社会の摩擦も増大すると予想され、『2050年の世界』が指摘する不安材料は気がかりである。 対中関係と合わせて、インドがどのような成長の物語を見せてくれるのか注視したい。 なお、教育期の半ばに起こる「鬼門」に当たる大事件は見当たらなかった。 これから起こるのか、あるいはインドの混沌には算命学も通じないのか。 対中関係で注目のフィリピンとベトナム 対中関係では南シナ海の領有権争いが連日報道されるところである。 当事者のベトナムとフィリピンは東南アジアにおいては経済的な存在感もあるところ、特に地政学上の影響が気になるのがフィリピンだ。 フィリピンは1973年に憲法を制定し、現在1サイクル目の権力期(2013-2022)が始まっている。 権力期とは、台頭した庶民の力を権力が抑える時期とされる。 ここで強権で知られるドゥテルテ大統領が誕生したのは興味深い。 この新たな権力者が、麻薬犯罪など庶民社会の負の側面の増大を食い止るとすれば、権力期の到来はフィリピンにとって歓迎すべきことだろう。 人口ボーナスもしばらく続く。 一方、元植民地という歴史もあり米国とは浅からぬ関係を築いてきたフィリピンだったが、ドゥテルテ大統領は北京にて米国との決別を宣言、親中路線を明らかにするなど、波乱が起きている。 この人物はその後発言を覆すなど真意はつかみがたいものの、フィリピンは2023年からの2サイクル目の動乱期を控えており、これは米中のパワーバランスの変化期とも重なることから、国家戦略・外交関係の大転換が起きてもおかしくはない。 その前段階にあたる現在の、フィリピンと米中との距離感には注目である。 ベトナムは第二次大戦終結に伴う独立のあと、1946年に憲法を制定し、2016年より2回目の経済確立期に入っている。 ベトナムはBRICsの次なる経済台頭国VISTAにも数えられ、その経済成長には期待が高い。 ただし人口ボーナスは庶民台頭期なかばの2030年には終わるため、経済確立期のこの10年でどこまで伸びられるかが注目点だ。 ちなみに人口ボーナス終了と陽の時代の終了とがいくつもの国で一致していて興味深い。 タイ・シンガポールの王の死と、インドネシアの経済成長 タイは軍部によるクーデターが相次ぐが、1932年の立憲革命をサイクルの起算点と考える。 2012年から2回目の庶民台頭期に入ったことになるが、19回目のクーデターや、プミポン国王の死(2016年)など、あまり陽の時代を謳歌している気はしない。 人口ボーナスも2020年には終わってしまうため、2022年からの陰の時代(権力期・動乱期)は少し厳しいものになるかもしれない。 王の死と言えば「明るい北朝鮮」シンガポールを作り上げたリー・クアンユーも2015年に亡くなっている。 シンガポール憲法は1965年に成立していて、リーの死はちょうど2サイクル目の動乱期(2015-2024)の始まりと重なる。 シンガポールはこれまで独裁体制を維持してきたが、2011年の選挙では野党が過去最大の議席(と言ってもたった6議席だけど)を取るなど、与党への不満が顕在化している。 今後10年の動乱期で、もしかしたら国の形が少し変わるかもしれない。 なお人口ボーナスは2020年に終わるが、外国人をうまく活用してきたシンガポールにとって影響は大きくないだろう。 最後に2億人の人口を抱えるインドネシア。 1950年に独立したインドネシアは2020年から経済確立期を迎え、陽の時代(経済確立期・庶民台頭期)が終わる2040年まで人口ボーナスの恩恵を得る。 東南アジアという地域においては存在感を増していくことになるだろう。 7.経済確立期のシナリオ分岐が、2050年の日米再戦を左右する さて、最後に予想したいのは日本の未来だ。 大日本帝国時代の50年(1890-1940)、及び戦後日本の50年(1947-1997)の俯瞰はすでに紹介した。 それは維新後の国際的地位確立と滅亡までの50年、そして占領から経済的復活までの50年だった。 現在の日本は鬼門に当たる東日本大震災(2011)を通過し、2サイクル目の経済確立期(2017-2027)を迎えようとしている。 この時期は景気循環の2つの波、コンドラチェフ・サイクルとクズネッツサイクルが共に上向く「ブロンズ・サイクル」(2012-2031)とも重なり期待大、というのは経済評論家の菅下清廣氏が指摘するところだ。 氏はこの背景を踏まえて、アベノミクスのデフレ脱却は誰が首相であっても掲げただろうし、成功できると評価している。 経済確立期に本当に日本の景気は上向くのか 『2030年世界はこう変わる』で描かれる日本の未来は、しかし楽観的とはいえない。 少子化に伴う人口減少と高齢化により「長期的に経済成長を実現させる潜在力は極めて限定的」と指摘。 さらには新興国の台頭により、国際社会における相対的な経済的地位は低くならざるを得ないとしている。 国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば、日本の人口は2055年には中位推計で8,993万人に減るとされ、さらに参考値として2105年には4,459万人という、ちょっと衝撃的な予測も出している。 これに高齢化も加わる中で、日本の経済を楽観視するのは確かに躊躇してしまう。 ちなみに『2030年世界はこう変わる』では、中国がアジアの覇権を握るための要件として、「米国の撤退」「インド台頭の遅れ」そして「日本の衰退」の3つを挙げていた。 日本が衰退するのか、それとも予測を裏切り成長できるかは、国際社会のシナリオにも影響を与えることになる。 カギとなるのは価値観の転換 少子化・高齢化というメガトレンドに抗い、日本は成長できるのか。 そのカギは価値観の転換にありそうだ。 前述の菅下氏だって、メガトレンドを全く無視して明るい未来を吹聴しているわけではない。 教育期の鬼門通過現象とは、陰の時代から陽の時代への転換である。 2サイクル目(1997~)の日本においては東日本大震災が鬼門にあたり、日本人の価値観に少なからぬ影響を残した。 景気循環の超長期の波コンドラチェフ・サイクルの変曲もまた、社会の価値観を覆す現象される。 日本では2009年にボトムを打ったとされ、その具体的変化として菅下氏が挙げるのが、例えばデフレからインフレへの転換であるわけだ。 バブル崩壊後のデフレ期「失われた20年」は、算命学における陰の時代に当てはまる。 鬼門通過を境に価値観の転換が起き、社会の形が変われば、沈みゆく流れも変わるのでは、というのが経済確立期に向けての日本への期待と言える。 実際にアベノミクスにより、少なくとも経済指標は上向いた。 これが虚像でなく実像であるなら、景気の上向きも画餅ではないだろう。 人口動態についても、政府も指をくわえているわけではなく、50年後の人口1億人維持を目指して動いている。 未来予測は未来を作るためにあり、少子・高齢化も予想できるからこそ、手を打つことができるのだ。 そして「価値観の転換」について日本を高く評価するのが、『100年予測』の著者ジョージ・フリードマンである。 『100年予測』が描く日本の未来 『100年予測』では地政学に基づき未来を考える。 21世紀前半にロシアと中国が力をつけた場合、日本は両国との関係から地域覇権国を目指さざるを得ない。 この地政学的方程式から、フリードマンは日本の軍国主義的思想の復活を予想した。 ここで「平和主義の日本が軍国なんてそんなバカな」という批判に対してフリードマンが持ち出すのが、明治維新と戦後の2度にわたり国家のカタチを変容させ、成功してきた日本の柔軟性である。 ちなみにこの2度の変化はいずれも動乱期に起きている。 いま維新から数えて3回目のサイクルに入ったが、3度目の価値観変化が起こるというのもあり得そうな予想だ。 『100年予測』では日本の中国沿岸部への投資が中国崩壊を導くとして、日本が中国の未来を決める変数の1つとなっている。 そういえば『2030年世界はこう変わる』も日本が中国の変数になっていた。 私は『100年予測』と『2030年世界はこう変わる』の予測が互いに矛盾するとは思わない。 日本が経済的に失速すれば、世界線は『2030年世界はこう変わる』の予想ルートに入って中国のアジア覇権が起こる。 一方で価値観の転換に成功し、経済的にも軍事的にもプレゼンスを発揮できれば、『100年予測』の予想ルートに入り中国の台頭が防がれるわけである。 要するに場合分けの問題なのだ。 これから日本はこの場合分けを試されることになるわけだけど、これが経済的に有利な経済確立期に起こるというのは、私には幸運に思える。 2050年の戦争は日本の新サイクルの起点、米国の鬼門に起こる さて、経済確立期における日本が『100年予測』のルートに入れたとして、その後の未来はどうなるだろう。 『100年予測』では次のように予想している。 ロシアと中国の台頭に対抗するため、日本に軍国主義が復活し、地域覇権国を目指すようになる• 日本の空海軍力増強とシーレーン防衛は米国の戦略と相反し、日米関係が悪化する• 2030年代、米国は南北統一を果たした韓国、及び内政の芳しくない中国と同盟を結び、日本は孤立する• 2050年、日本はトルコと同盟して米国に戦争を仕掛ける この予測の詳細は次の記事で紹介した。 100年ぶり2回目の対米戦争は、算命学的にはどう捉えればよいだろう。 紹介したように、2030年の米国は力を落とすとされている。 例えば『2030年世界はこう変わる』では、米国は「覇権国」から「トップ集団の1位」に後退するとされ、世界戦略の転換を迫られる。 算命学的にみるとこの時期の米国は、権力期・動乱期(2028-2047)という陰の時代の始まりに当たる。 一方、日本の2030年代は陽の時代の終盤・庶民台頭期(2027-2036)にあたり、まだ強気でいられる時期だ。 こうした両国のバランスの変化が日米関係の悪化をもたらすことは、あり得ぬ予想ではなさそうである。 そして2050年。 日本では権力期(2037-2046)が終わり、動乱期(2047-2057)が始まる時期だ。 次なるサイクルの始まりであり、新たな秩序の構築という野心が、米国への挑戦の形で顕れる可能性はあるだろう。 「権力期を経ての動乱期での戦争」と言えば、20世紀の太平洋戦争も権力期(1930-1939)に権力を得た軍部により動乱期(1940-)に起こされている。 この算命学的な重なりは気になるところだ。 米国の2050年は教育期(2048-2057)の半ば、すなわち鬼門に当たる。 21世紀前半に国力を落とし、世界戦略の転換を余儀なくされた米国が、21世紀後半にはいかなる立場で存在するのか。 経済確立期でイケイケのトルコ、動乱期を迎え新秩序を作りたい日本を相手にしての戦争は、米国にとって負けられぬ戦いになりそうである。 * 以上、21世紀前半の国際社会の未来について、算命学の観点から予想してみた。 いくつかの未来予測本を参考にしたが、算命学はこれらの予測悪くない形で当てはまっていて、私としてはますます信じる気持ちになってしまった。 どの国の未来も興味深いが、やはり気になるのは日本の未来だ。 そのカギは2017年からの経済確立期にありそうである。 景気は上向いていくのか、メガトレンドや国際情勢が厳しい中で、いかに存在感を発揮していけるのか。 引き続き注目したい。 * 算命学の過去の歴史への当てはめはこちらから。 算命学に基づくロシア、欧州、米国の未来予測はこちらから。

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【オススメ】【河添恵子】中国経済余裕なし!崩壊寸前!?河添恵子が徹底解説!

中国 崩壊 ありえない

いなたくんへ 中国古来の占術「算命学」を使った国家の長期トレンド予測について、いくつかの紹介をしてきた。 繰り返しになるけど、算命学とは、国家を10年ごとに5つの時代に分けて、これを1つのサイクルとして扱うものだ。 動乱期のあと、国の安定に伴い国家の中枢を担う人材が教育され(教育期)、彼らが経済確立期と、次いで庶民台頭期をもたらすが、権力は庶民を抑えるようになって国家は衰退し(権力期)、再び次の動乱期を迎える。 理に適ったシナリオであり、実際に過去の歴史を検証したらけっこう当たってたかも、というのは以前紹介した通りだ。 では算命学を使って未来を予測してみると、どんな景色が見えるだろうか。 いくつかの未来予測本も参考にして、2020年のロシア崩壊、トルコとポーランドの大国化、2060年に人口逆転する独仏関係、そして米国の覇権国転落という、4つの未来を検証した。 続いて今回は、台頭する中国とアジア世界、そして日本の未来を考えてみる。 Summary Note 5.2020年頃「鬼門」を通過する中国は崩壊するのか 中国の未来について、まず気になるのは崩壊説だ。 中国は経済政策の無理がたたって崩壊する、という「中国崩壊説」は巷ではよく見かける。 地政学に基づき21世紀の各国動向を予測したも、有力説として崩壊説を挙げている。 『100年予測』の具体的な予想は以下の通りだ。 少なくとも2010年代の対日・対米対決姿勢は、本書の予測が当たっていたように思える(2012年の尖閣諸島国有化に端を発する中国の反日姿勢は本書刊行後の出来事)。 2010年代に経済的問題を外国に転嫁しようとして、日本又は米国と外交的・軍事的に対決しようとする• 2010年代には米国に対抗する海軍力は持たない• 最も可能性の高いシナリオは、「経済悪化がもたらす歪みにより、中国は伝統的な地方の境界線に沿って分裂し、中央政府が弱体化して力を失う」というもの• 2020年頃、日本による沿岸部の大規模投資が、中央政府の権力への対抗に繋がっている ソフトランディング説の場合、中国はインドと共に世界を牽引 しかしながら「中国20XX年崩壊説」は、毎年まことしやかに語られつつも、常に外れてきたのも事実であり、中国大国化の脅威に起因する情緒的観測という側面は否めない。 次の記事によれば、中国崩壊説は30年来続く根強い「信仰」のようだ。 経済指標からみる中国がヤヴァイのが事実としても、そんなことは中国の首脳陣も重々承知で、ソフトランディングできる可能性も十分にある。 米国情報機関による大統領向けレポートをまとめたはソフトランディングを支持する立場で、そのシナリオは次のようなものだった。 中国は2020年までに、実質成長率を5%程度に落ち着かせる• 民主化と経済失速の過程で、国粋主義的傾向が高まる可能性がある• 中国の国力は2030年以降に米国を抜く• 中国が世界一の経済大国である期間は長くはなく、インドにその座を奪われ、以後中印2ヶ国が世界経済を牽引する 『2030年世界はこう変わる』の予測の詳細は次の記事で紹介した。 果たして中国の経済は崩壊するのか、それともソフトランディングできるのか。 算命学の観点から考えてみる。 新中国の第2サイクルは世界に打って出る50年に 中華人民共和国の憲法は1954年に制定され、2004年から2回目のサイクルに入っている。 2004年から2013年までの動乱期には何があったか。 私は中国の最初のサイクル(1954-2003)を、その50年を「建国と社会主義市場経済体制の完成」と見た。 動乱期・教育期(1954-1973)には大躍進政策や文化大革命といった混乱があったが、経済確立期から改革開放路線が打ち出され、1992年に「社会主義市場経済」が提げられる。 第1サイクルの50年で内政にひと段落をつけたとして、第2サイクルは世界に打って出る50年になるかもしれない。 そのスタートとなる動乱期(2004-2013)で中国は、GDPで日本を抜いて世界2位に躍り出、北京五輪を開催し、中間層が激増するなど、大きな変化を見せた。 社会に生じた摩擦も小さくはなかったはずだ。 また、第1サイクルの庶民台頭期(1984-1993)に生じた自由化要求は天安門事件の形で抑圧されたが、第2サイクルでは政府と人民の関係がどう変化するかも見逃せない。 キーとなるのは情報技術だ。 例えば2003年のSARSの流行はEC(電子商取引)文化を発展させ、世界でも最先端の市場を作り上げた。 英エコノミスト誌の予測や『2030年世界はこう変わる』でも、SNSをはじめとする情報技術は、民主主義を強化し、同時に政府権力をも強化するゲームチェンジャーとみられている。 中華人民と社会主義政府の最先端テクノロジーをめぐるイタチごっこは、21世紀の国家の在り方を図る上でも見逃せないモデルケースだ。 この視点では山谷剛史著が必読である。 さて、中国はそれから教育期(2014-2023)に入った。 算命学が正しければその半ばには、国家を震撼させる事件が起こる。 そろそろ起こるはずの「鬼門」とは一体何になるだろう。 「鬼門」仮説1:経済危機が陽の時代への転換点となる 1つめに考えられるのは経済危機だ。 来るぞ来るぞと言われていた中国発の経済危機が、ついに起こる。 ただしその結果が国家崩壊にまで至るかは果たして疑問だ。 巨大な経済危機は日本も米国も経験してきた。 中国の場合は共産党に抑圧された人民が爆発する、という「期待」があるものの、未知数である。 そもそも鬼門通過とは、陰の時代から陽の時代への転換にともなう「痛み」である。 中国の経済危機は大きな痛みを伴うだろうが、むしろ溜まった膿を出し切り、経済確立期(2024-2033)を迎える準備が整うかもしれない。 それより心配すべきなのは経済確立期の先、庶民台頭期(2034-2043)ではないだろうか。 『2030年の世界』では、2020年頃に中国経済がソフトランディングできたとしても、2030年以降に失速が起こると指摘している。 原因は深刻な高齢化だ。 中国は65歳以上人口比率が2030年には現在の倍の16%に上昇し、労働人口も2016年をピークとして減っていく。 全体人口も2025年の14億人以降は減少し2050年にインド(16億人)に抜かれる。 エネルギー需要も2030年には現在の2倍となって大きな問題となる。 以上のことを考えると、中国の経済成長は算命学のシナリオ通り経済確立期(2024-2033)にピークを迎えるが、2030年代の庶民台頭期には失速し、2040年代の陰の時代(権力期・動乱期)に突入する。 というのが私の予想だ。 「鬼門」仮説2:2020年の「奪還」戦争 もう1つ鬼門として考えられるのが戦争だ。 鬼門通過期に大きな戦争が起きた例は珍しくなく、日本の日露戦争や米国の朝鮮戦争、ロシアのグルジア紛争はいずれも教育期の半ばに起き、かつ国家のその後を左右する戦争となった。 中国は動乱期以来、東シナ海や南シナ海での勢力を活発化させ、インド洋やアフリカ方面へも勢力圏を伸ばしている。 中国の第2サイクルが拡張の50年となるのであれば、その最初の衝突が教育期の半ば、すなわち2020年頃に起こることはあり得るだろう。 『2050年の世界』では、中国は米国に第1列島線の内側で活動させないことを目標に、2050年までに防衛線を第2列島線まで拡大しようとすると予想している。 その前段階としてターニングポイントとなるのが2020年で、中国は空母4隻体制を構築して大洋作戦能力を獲得し、米国とのパワーバランスが一段階変化するとされている。 より ちなみに次の記事では、中国は2060年までに6回の「奪還」戦争を行うと予想。 その最初の戦いとなる台湾統一戦争が2020年から2025年に起こるとしている。 中国の軍事関連掲示板を紹介した記事なので真に受けるべきものではないが、ひとつの予想としてはおもしろい。 ちなみに尖閣諸島・琉球奪還戦争は2040年から2045年とのこと。 沖縄もかよ。 いずれにせよ中国はいま、2014年から2023年までの教育期にあり、その半ばに起こるとされる鬼門通過がいかなる事件になるかは注目だ。 これは中国にとどまらず、世界の趨勢にも影響を及ぼすことになるだろう。 6.楽観できないインドの未来、人口ボーナスを終えるアジアの国々 次に中国の周辺にあたる、インドと東南アジアの未来を予想したい。 中国はすでに紹介した通り、労働人口増加のピークを2016年に通過し、今後は社会の高齢化に備えねばならない。 一方で、人口ボーナスの影響をまだまだ享受できるのがインドと東南アジアだ。 シンガポール建国者リー・クアンユーは戦争の要因の1つに人口増加率を挙げており、インド周辺や東南アジアは21世紀の戦争発生リスク地域にもなっている。 大国中国との関係でも、人口増加に伴う経済成長・戦争リスクの観点でも、21世紀における当該地域の影響は無視できない。 その未来を算命学に当てはめると、何がわかるか。 アジア各国の人口ボーナス期(図:より) 未来を楽観視できないインド 中国との関係では、まず気になるのがインドだ。 インドの労働人口数ピークは2050年としばらく先で、人口は中国を抜き世界最大になると予想される。 しかし、人口ボーナスの享受国であっても楽観視できないというのが『2050年の世界』の予想だ。 『2050年の世界』では、インドにおける高い成人非識字率、若年層の男女比不均衡、南北で大きく異なる人口トレンドといった構造的問題を指摘。 「複数政党ならではの欠点と挫折に苦しめられ」「2050年までの間に、良い知らせと悪い知らせをもたらす」としている。 『2030年世界はこう変わる』では、インドは中国の未来を占うための1つの変数として扱われていた。 その予想では、中国の「世界一の経済大国」の座が短命に終わったあと、中印2ヵ国が世界経済を牽引することになる。 そしてこれがうまくいかず、例えば両国関係に不安が生じる場合には、それは世界の不安につながるとする。 算命学的にはどうだろう。 インドは1959年に独立し、現在は2サイクル目の教育期(2010-2019)のただ中にある。 その後2020年から2040年の20年間、ちょうど人口ボーナスと重なる期間に、インドは経済確立と庶民台頭の陽の時代を謳歌することになる。 成長に伴い国内社会の摩擦も増大すると予想され、『2050年の世界』が指摘する不安材料は気がかりである。 対中関係と合わせて、インドがどのような成長の物語を見せてくれるのか注視したい。 なお、教育期の半ばに起こる「鬼門」に当たる大事件は見当たらなかった。 これから起こるのか、あるいはインドの混沌には算命学も通じないのか。 対中関係で注目のフィリピンとベトナム 対中関係では南シナ海の領有権争いが連日報道されるところである。 当事者のベトナムとフィリピンは東南アジアにおいては経済的な存在感もあるところ、特に地政学上の影響が気になるのがフィリピンだ。 フィリピンは1973年に憲法を制定し、現在1サイクル目の権力期(2013-2022)が始まっている。 権力期とは、台頭した庶民の力を権力が抑える時期とされる。 ここで強権で知られるドゥテルテ大統領が誕生したのは興味深い。 この新たな権力者が、麻薬犯罪など庶民社会の負の側面の増大を食い止るとすれば、権力期の到来はフィリピンにとって歓迎すべきことだろう。 人口ボーナスもしばらく続く。 一方、元植民地という歴史もあり米国とは浅からぬ関係を築いてきたフィリピンだったが、ドゥテルテ大統領は北京にて米国との決別を宣言、親中路線を明らかにするなど、波乱が起きている。 この人物はその後発言を覆すなど真意はつかみがたいものの、フィリピンは2023年からの2サイクル目の動乱期を控えており、これは米中のパワーバランスの変化期とも重なることから、国家戦略・外交関係の大転換が起きてもおかしくはない。 その前段階にあたる現在の、フィリピンと米中との距離感には注目である。 ベトナムは第二次大戦終結に伴う独立のあと、1946年に憲法を制定し、2016年より2回目の経済確立期に入っている。 ベトナムはBRICsの次なる経済台頭国VISTAにも数えられ、その経済成長には期待が高い。 ただし人口ボーナスは庶民台頭期なかばの2030年には終わるため、経済確立期のこの10年でどこまで伸びられるかが注目点だ。 ちなみに人口ボーナス終了と陽の時代の終了とがいくつもの国で一致していて興味深い。 タイ・シンガポールの王の死と、インドネシアの経済成長 タイは軍部によるクーデターが相次ぐが、1932年の立憲革命をサイクルの起算点と考える。 2012年から2回目の庶民台頭期に入ったことになるが、19回目のクーデターや、プミポン国王の死(2016年)など、あまり陽の時代を謳歌している気はしない。 人口ボーナスも2020年には終わってしまうため、2022年からの陰の時代(権力期・動乱期)は少し厳しいものになるかもしれない。 王の死と言えば「明るい北朝鮮」シンガポールを作り上げたリー・クアンユーも2015年に亡くなっている。 シンガポール憲法は1965年に成立していて、リーの死はちょうど2サイクル目の動乱期(2015-2024)の始まりと重なる。 シンガポールはこれまで独裁体制を維持してきたが、2011年の選挙では野党が過去最大の議席(と言ってもたった6議席だけど)を取るなど、与党への不満が顕在化している。 今後10年の動乱期で、もしかしたら国の形が少し変わるかもしれない。 なお人口ボーナスは2020年に終わるが、外国人をうまく活用してきたシンガポールにとって影響は大きくないだろう。 最後に2億人の人口を抱えるインドネシア。 1950年に独立したインドネシアは2020年から経済確立期を迎え、陽の時代(経済確立期・庶民台頭期)が終わる2040年まで人口ボーナスの恩恵を得る。 東南アジアという地域においては存在感を増していくことになるだろう。 7.経済確立期のシナリオ分岐が、2050年の日米再戦を左右する さて、最後に予想したいのは日本の未来だ。 大日本帝国時代の50年(1890-1940)、及び戦後日本の50年(1947-1997)の俯瞰はすでに紹介した。 それは維新後の国際的地位確立と滅亡までの50年、そして占領から経済的復活までの50年だった。 現在の日本は鬼門に当たる東日本大震災(2011)を通過し、2サイクル目の経済確立期(2017-2027)を迎えようとしている。 この時期は景気循環の2つの波、コンドラチェフ・サイクルとクズネッツサイクルが共に上向く「ブロンズ・サイクル」(2012-2031)とも重なり期待大、というのは経済評論家の菅下清廣氏が指摘するところだ。 氏はこの背景を踏まえて、アベノミクスのデフレ脱却は誰が首相であっても掲げただろうし、成功できると評価している。 経済確立期に本当に日本の景気は上向くのか 『2030年世界はこう変わる』で描かれる日本の未来は、しかし楽観的とはいえない。 少子化に伴う人口減少と高齢化により「長期的に経済成長を実現させる潜在力は極めて限定的」と指摘。 さらには新興国の台頭により、国際社会における相対的な経済的地位は低くならざるを得ないとしている。 国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば、日本の人口は2055年には中位推計で8,993万人に減るとされ、さらに参考値として2105年には4,459万人という、ちょっと衝撃的な予測も出している。 これに高齢化も加わる中で、日本の経済を楽観視するのは確かに躊躇してしまう。 ちなみに『2030年世界はこう変わる』では、中国がアジアの覇権を握るための要件として、「米国の撤退」「インド台頭の遅れ」そして「日本の衰退」の3つを挙げていた。 日本が衰退するのか、それとも予測を裏切り成長できるかは、国際社会のシナリオにも影響を与えることになる。 カギとなるのは価値観の転換 少子化・高齢化というメガトレンドに抗い、日本は成長できるのか。 そのカギは価値観の転換にありそうだ。 前述の菅下氏だって、メガトレンドを全く無視して明るい未来を吹聴しているわけではない。 教育期の鬼門通過現象とは、陰の時代から陽の時代への転換である。 2サイクル目(1997~)の日本においては東日本大震災が鬼門にあたり、日本人の価値観に少なからぬ影響を残した。 景気循環の超長期の波コンドラチェフ・サイクルの変曲もまた、社会の価値観を覆す現象される。 日本では2009年にボトムを打ったとされ、その具体的変化として菅下氏が挙げるのが、例えばデフレからインフレへの転換であるわけだ。 バブル崩壊後のデフレ期「失われた20年」は、算命学における陰の時代に当てはまる。 鬼門通過を境に価値観の転換が起き、社会の形が変われば、沈みゆく流れも変わるのでは、というのが経済確立期に向けての日本への期待と言える。 実際にアベノミクスにより、少なくとも経済指標は上向いた。 これが虚像でなく実像であるなら、景気の上向きも画餅ではないだろう。 人口動態についても、政府も指をくわえているわけではなく、50年後の人口1億人維持を目指して動いている。 未来予測は未来を作るためにあり、少子・高齢化も予想できるからこそ、手を打つことができるのだ。 そして「価値観の転換」について日本を高く評価するのが、『100年予測』の著者ジョージ・フリードマンである。 『100年予測』が描く日本の未来 『100年予測』では地政学に基づき未来を考える。 21世紀前半にロシアと中国が力をつけた場合、日本は両国との関係から地域覇権国を目指さざるを得ない。 この地政学的方程式から、フリードマンは日本の軍国主義的思想の復活を予想した。 ここで「平和主義の日本が軍国なんてそんなバカな」という批判に対してフリードマンが持ち出すのが、明治維新と戦後の2度にわたり国家のカタチを変容させ、成功してきた日本の柔軟性である。 ちなみにこの2度の変化はいずれも動乱期に起きている。 いま維新から数えて3回目のサイクルに入ったが、3度目の価値観変化が起こるというのもあり得そうな予想だ。 『100年予測』では日本の中国沿岸部への投資が中国崩壊を導くとして、日本が中国の未来を決める変数の1つとなっている。 そういえば『2030年世界はこう変わる』も日本が中国の変数になっていた。 私は『100年予測』と『2030年世界はこう変わる』の予測が互いに矛盾するとは思わない。 日本が経済的に失速すれば、世界線は『2030年世界はこう変わる』の予想ルートに入って中国のアジア覇権が起こる。 一方で価値観の転換に成功し、経済的にも軍事的にもプレゼンスを発揮できれば、『100年予測』の予想ルートに入り中国の台頭が防がれるわけである。 要するに場合分けの問題なのだ。 これから日本はこの場合分けを試されることになるわけだけど、これが経済的に有利な経済確立期に起こるというのは、私には幸運に思える。 2050年の戦争は日本の新サイクルの起点、米国の鬼門に起こる さて、経済確立期における日本が『100年予測』のルートに入れたとして、その後の未来はどうなるだろう。 『100年予測』では次のように予想している。 ロシアと中国の台頭に対抗するため、日本に軍国主義が復活し、地域覇権国を目指すようになる• 日本の空海軍力増強とシーレーン防衛は米国の戦略と相反し、日米関係が悪化する• 2030年代、米国は南北統一を果たした韓国、及び内政の芳しくない中国と同盟を結び、日本は孤立する• 2050年、日本はトルコと同盟して米国に戦争を仕掛ける この予測の詳細は次の記事で紹介した。 100年ぶり2回目の対米戦争は、算命学的にはどう捉えればよいだろう。 紹介したように、2030年の米国は力を落とすとされている。 例えば『2030年世界はこう変わる』では、米国は「覇権国」から「トップ集団の1位」に後退するとされ、世界戦略の転換を迫られる。 算命学的にみるとこの時期の米国は、権力期・動乱期(2028-2047)という陰の時代の始まりに当たる。 一方、日本の2030年代は陽の時代の終盤・庶民台頭期(2027-2036)にあたり、まだ強気でいられる時期だ。 こうした両国のバランスの変化が日米関係の悪化をもたらすことは、あり得ぬ予想ではなさそうである。 そして2050年。 日本では権力期(2037-2046)が終わり、動乱期(2047-2057)が始まる時期だ。 次なるサイクルの始まりであり、新たな秩序の構築という野心が、米国への挑戦の形で顕れる可能性はあるだろう。 「権力期を経ての動乱期での戦争」と言えば、20世紀の太平洋戦争も権力期(1930-1939)に権力を得た軍部により動乱期(1940-)に起こされている。 この算命学的な重なりは気になるところだ。 米国の2050年は教育期(2048-2057)の半ば、すなわち鬼門に当たる。 21世紀前半に国力を落とし、世界戦略の転換を余儀なくされた米国が、21世紀後半にはいかなる立場で存在するのか。 経済確立期でイケイケのトルコ、動乱期を迎え新秩序を作りたい日本を相手にしての戦争は、米国にとって負けられぬ戦いになりそうである。 * 以上、21世紀前半の国際社会の未来について、算命学の観点から予想してみた。 いくつかの未来予測本を参考にしたが、算命学はこれらの予測悪くない形で当てはまっていて、私としてはますます信じる気持ちになってしまった。 どの国の未来も興味深いが、やはり気になるのは日本の未来だ。 そのカギは2017年からの経済確立期にありそうである。 景気は上向いていくのか、メガトレンドや国際情勢が厳しい中で、いかに存在感を発揮していけるのか。 引き続き注目したい。 * 算命学の過去の歴史への当てはめはこちらから。 算命学に基づくロシア、欧州、米国の未来予測はこちらから。

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