カリン スローター。 破滅のループ (ハーパーBOOKS)

読者賞だより:3通目――今月の「読み逃してませんか~??」/『三連の殺意』ほか〈ウィル・トレント〉シリーズ(執筆者・大木雄一郎)

カリン スローター

銃乱射事件の犯人を 躊躇なく殺したのは、 ごく平凡なわたしの母親だった。 MWA賞受賞作家の最新作! スローター史上最高傑作。 サイコ・スリラーの新たな基準を築いた。 彼女を傑出した作家たらしめている。 偶然居合わせた警察署通信係のアンディは、警官だと勘違いされ、銃口を突きつけられる。 震える彼女の前に立ちはだかったのは母のローラ。 呆然とするアンディをよそに、事件の動画は全米に拡散。 母は瞬く間に時の人となるが……。 「彼女のかけら(上・下)」(作:カリン・スローター、ハーパーBOOKS)を読みました。 ある女性の娘(アンディ)が、事件の後、「彼女のかけら」を追うことを決意、2018年から、一転、1986年へと時制が巻き戻されるダイナミズムは素敵でした。 しかし、私の小説の「好み」を言うことになるのかもしれませんが、サラ・パレツキーのいくつかの著作のような無駄な会話が多く、逆にスリラーとしての緊張感、サスペンスを削ぐ結果になっているようにも感じられました。 より「行動」を描いて欲しいですね。 語られる「カルト集団」も、ままごと集団のようにしか見えず、強くもなければ、緻密さも感じられず、なかんずく、カリスマと呼ばれるリーダーは、ただの男前だったということなのかもしれません。 また、更生施設での「依存性からの回復プログラム」の最終ステップを学んでいるようなテーマ性も実は感心できませんでした。 現実は、たとえ多くの殺人がなかったとしても、より壮絶で、人が<自立>を立証することはそう簡単なことではないとも感じられます。 最後まで読み通させる小説としてのパワーは賞賛できますが、以上のような部分が気になり、結果、物語に没頭できなかったことを告白しておきます.

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破滅のループ (ハーパーBOOKS)

カリン スローター

カリン・スローター Karin Slaughter 誕生 1971-01-06 (49歳) 職業 小説家、作家 言語 英語 国籍 活動期間 - ジャンル ミステリ、サスペンス 代表作 ウィル・トレント・シリーズ 主な受賞歴 (2015年) デビュー作 『開かれた瞳孔』 公式サイト www. karinslaughter. 南部の小さな町に生まれ、現在は在住。 処女作『開かれた瞳孔』(原題: Blindsighted )は約30言語に翻訳され、が優れた新人作家に贈るの最終候補に残るなど世界的なベストセラーとなった。 著作は32か国語に翻訳され、売り上げは3000万部以上に上る。 ウィル・トレント・シリーズの第2作『砕かれた少女』(原題: )は、、で第1位に、ではアダルト・フィクション部門で第1位になったほか、 "" はで第1位になった。 の公立図書館のためになる「図書館を守ろう」というイベントに参加している。 詳細は「」を参照 作品の舞台は、の架空の町、グラント郡ハーツデール Heartsdale で、主な語り手は小児科医でパートタイムの検死官サラ・リントン、サラの前夫で後に再婚する警察官ジェフリー・トリバー、ジェフリーの部下のレナ・アダムス警部の3人である。 作品はの " " が最新作である。 邦題 原題 刊行年 刊行年月 訳者 出版社 1 開かれた瞳孔 Blindsighted 2001年 2002年10月 大槻寿美枝 2 Kisscut 2002年 3 A Faint Cold Fear 2003年 4 Indelible 2004年 5 Faithless 2005年 6 Beyond Reach 2007年 ウィル・トレント Will Trent シリーズ [ ] 詳細は「」を参照 主人公は、のの特別捜査官ウィル・トレントとウィルのパートナー、フェイス・ミッチェルである。 プリティ・ガールズ Pretty Girls 2015年 2015年12月 彼女のかけら Pieces of Her 2018年 2018年12月 鈴木美朋 出典・脚注 [ ] 脚注.

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読者賞だより:3通目――今月の「読み逃してませんか~??」/『三連の殺意』ほか〈ウィル・トレント〉シリーズ(執筆者・大木雄一郎)

カリン スローター

〈ウィル・トレント〉シリーズ、最大の危機! 行方不明のまま一カ月が過ぎたとき、アトランタ中心で爆破事件が発生。 現場へ急行した捜査官ウィルと検死官サラは混乱の中、車の追突事故の救命にあたる。 だがその車に乗っていたのは、逃走中の爆破犯たちとさらわれた疫学者だった。 連鎖する凶悪事件、真の目的とは!? シリーズ最新作、早速読みましたのでレビューします。 今回は物語の途中で何度も泣いてしまいました。 事件そのものはカリン節炸裂というか、いつものぞわっとするような描写だったり リアリティを感じさせる事件だったりで言うことありません。 いつもどおり素晴らしいです。 泣けたのはやはりウィルとサラについて。 今回は二人の関係性は大きく変化したと思います。 サラが誘拐され生きているかもどうか分からない状況の中でのウィルの決断だったり苦悩だったり 本当の思いが伝わってきました。 二人の視点が交互に書かれている場面もあるのでより分かりやすかったです。 サラがウィルへ残した天井メッセージは特に印象に残っています。 それから(彼の左手、私の右手)というサラ のウィルへの思い、印象的でした。 ラスト、事件の結末はネタバレになるので言えませんが苦しかったです。 二人の関係は、、次回が楽しみで仕方ありません!! 本当に良かったです。 シリーズ邦訳9作目。 爆破事件の救助に駆けつけたウィルとサラが、そこに居合わせた犯人グループに襲われサラが拉致されるところから始まる。 そこからはサラ、ウィル、フェイスとアマンダそれぞれの立場から、同時間帯における考えや行動が描かれ、次第に事の真相が明らかになっていくという見事なプロットで、ぐんぐん引き込まれる。 今回の敵は大規模なテロを目論む白人至上主義者(現在世界中で起こっている人種差別抗議デモを加速させそうなタイミングの出版だ)。 細菌・ウイルス学、病理・医学に関する学識がよく調べられている(これも新型コロナウイルスを思い起こすところが少々あった)。 ただ終盤のクライマックスシーンに関して、ウィルのとった行動に幾ばくかの疑問が残った。 …ウィル自身も納得しきれていないが。 解説にもあるがスローターが描く小説は、暴力社会について問題提起し、世に訴えたいことなのだろう。 私は 3『ハンティング』のレビューでも記述したが、スローターにはグロテスクさを描いて読者の目を引きつけようとする意図を感じる。 今作も凄惨な場面の中でのウィルの戦い。 納得しきれないのは見せ場を作るために「それあっての彼の行動」と感じたところ。 サラを思うあまり単独判断している。 他に事前にできたことがあったように思う。 ウィルのことは大好きだし、彼は一生懸命やったけど、一般人の多大な犠牲に対して、仕方がない、これしか方策がなかったのだから、と思い切れない。 霜月氏の解説はよかった。 だが本書について「残虐度もおさえめ」という記述には同意できなかった。 視点を変えて…、私はシリーズを通して、ウィルとサラの関係が少しずつ前進していく過程が楽しみだ。 特に今回はロマンス面の記述がふんだんにあったのでうれしかった。 無駄な会話が多く、ままごとのような「カルト集団」を描いた「彼女のかけら」は、この作品に至るための習作だったのかもしれませんね。 「破滅のループ "The Last Widow"」(カリン・スローター ハーパーBOOKS)を読みました。 GBIの特別捜査官・ウィル・トレント・シリーズ、9作目。 舞台は、アトランタ、ジョージア。 のっけから、サスペンス全開です。 引き起こされる爆弾テロ、遭遇する交通事故。 巻き込まれるウィルとウィルの恋人でもある、検死官・サラ。 ドゥニ・ヴィルヌーヴ映画のようなザワザワ感。 ウィルは負傷し、サラをさらわれ(笑)、そのことは1ヵ月前に起きた米国疾病予防管理センターの疫学者・ミシェルの拉致事件とリンクしています。 誰が彼女たちをさらったのか?何故?何のために?多くの謎が、ウィル、そのバディのフェイス、そして拉致されたサラの視点を通して語られる中で少しずつ明らかにされていきます。 ストーリーは、いつものようにここまででしょうね。 「プリンセス・ブライド・ストーリー」、読み書き障害、多くの探り当てなければならない何故、ミセス・ロビンソンの娘を演じた俳優は、キャサリン・ロス(笑)、米国のSIGINTは何故か鳴りを潜め、あれほどまでに活躍したブラックベリーの代わりにアップル・ウォッチがプルーフを届け、今回は「カルト集団」に代わって、グレイト・リプレイスメントを宣言するかなり手強い、ある集団とウィル・トレントは、怯えながら戦うことになります。 おそらく、愛ゆえに。 2020年の米国が抱えるすべての<闇>が、魔法使いが撫でさする「水晶玉」のイメージのように浮き上がります。 が世界的に停滞し、ヘイトに焼き尽くされようとする米国。 それは、現時点での現実を垣間見る私たちの視点が、事件の渦中にいるサラの視点にすり替わったかのようにすら思えます。 (作者は、SNSや動画サイトはヘイトの商品化だと看破しています) 希望の話をしましょう。 自分らしさを心地よく感じている女性に怖じ気づいたりしない男たちは消滅し、サラ、フェイス、そして、GBIを背負うアマンダが、阿修羅の如くこの小説の至るところに存在しています。 エピローグには、クリント・ブラックやガース・ブルックスの代わりにドリー・パートンの歌声が聞こえ、リーヴァ・マッキンタイアが歌う"The Night The Lights Went Out in Georgia"が聞こえてくるような気さえします。

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